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システム開発の内製・外注に迷ったときは「アドバイザリー契約」もあるよという話

こんにちは。アシアル広報チームです。総務省の『情報通信白書令和元年版』によれば、個人におけるスマートフォンの保有割合は64.7%にものぼります。そんな中で、スマホ対応アプリの企画・開発に乗り出した企業も数多くあることでしょう。

スマホアプリに限らず、社会や消費者の変化に対応するために、業務システムの刷新など新たなシステム投資を検討している企業も増えています。

では、システム開発を行う際には、どんな方法を選択しますか? 多くの方が、社内エンジニアによる制作(内製)か外注かで悩むのではないでしょうか。実は、そこに加えるべきもう一つの選択肢があるのです。今回は、開発における“3つめの解”について、解説します。

アドバイザリー契約と、そのメリットとは?

“3つめの解”とは、ずはり、エンジニアのアドバイザリー契約です。アドバイザリー契約は、内製でも外注でもなく、いわば両者の間に位置します。「社外のエンジニアに依頼する」という面では外注と同じですが、アドバイザリー契約の場合、開発の中心になるのは社内エンジニアです。

「社内エンジニアに社外のエンジニアが協力する」というイメージで、例えば様々な調査をしたり、開発のアドバイスやテストサポートを行ったりします。

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アドバイスを受けつつ、社内エンジニアがメインで開発を進めるため、知見が蓄積できることはアドバイザリー契約のメリットの一つ。十分に知見が蓄積できれば、いずれアドバイザリー契約も外注も不要になることも考えられます。

また、必要なときにスポットで契約でき継続的なコストが発生しつづけない、アドバイスを受ける内容や頻度などから内製で進めるのか、外注に切り替えたほうがいいのかの判断ができて、柔軟性が高いといった利点もあります。

様々な導入タイミング

昨年4月に、このnoteで海原がお話ししたように、アシアルは「私たちの知識や経験がより多くの方々に影響を与えることを目指しています」。そして、「日本の情報技術力を底上げしたい」という思いがあります。

アシアルでは、多くのクライアントとアドバイザリー契約を交わしています。それは、クライアントの社内エンジニアに我々の知識や経験を伝えることで、共に成長できるからです。

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昨年6月に、プロジェクトマネージャーの笹亀が保険系企業様のアプリ開発を紹介しましたが、その事例もアドバイザリー契約の一つです。共に開発を進めてアプリをリリースし、その後はクライアント側で開発を進行。行き詰まったときにはアドバイスをするというスタイルです。

さらに開発前の段階に関わることもあります。例えば、webアプリをPCやスマホからオフラインでも使えるようにしたいというご要望を受け、それが技術的に可能かどうかを調査したこともありました。調査後は、クライアントにレポートを提出。このレポートが納品物となります。

このほか、プロジェクトチームが組まれて社内エンジニア中心に開発が進む中でアドバイザーとしてサポートする、バグが発見された時点で原因調査と解消のためにアドバイスする、追加開発の際にシステムやOSのアップデートに対応するといった事例も。

プロジェクトのスタートからアプリのリリース・保守・追加開発まで、すべての工程を外部に委ねるのではなく、必要な場面でのみ活用でき、そのときどきで専門家の意見を聞けるのもアドバイザリー契約のメリットです。

内製、外注、アドバイザリー契約のコスト

先にアドバイザリー契約は「スポットで契約でき、継続的なコストが発生しつづけない」と述べました。では、内製、外注、アドバイザリー契約はコスト面でどのような違いがあるでしょうか? 

コスト発生イメージは以下のようになります。

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■内製
・給与
エンジニアと雇用関係が生じるため、主なコストは給与(人件費)です。昇給や人員増強によって、時間経過と共に上昇するのが一般的。

■外注
・イニシャルコスト
・ランニングコスト

初期開発にともなうイニシャルコストが最も高価。追加開発は、相場の上昇やシステムの老朽化による開発工数の増加などにより、時間経過と共に上昇するのが一般的です。また、システム保守にも継続的な費用が発生します。

■アドバイザリー契約
・工数ベース
アドバイザリー契約自体は、工数をベースにコストが発生。ただし、社内にエンジニアがいることが前提のため、内製(給与)にアドバイザリー契約のコストがプラスされます。社内エンジニアのスキルアップと共に、必要なアドバイスは減るためコストは減り、最終的には不要になることも。

サンプルケースでみる、アドバイザリー契約

ここからはサンプルケースを用い、さらに理解を深めていきましょう。架空の企業「本郷ヘルスケア社」を例に考えます。これは、実際にあった複数の事例を組み合わせたサンプルです。

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本郷ヘルスケア社の状況

本郷ヘルスケア社は、活動量計などの製造・販売事業を展開。購入者は、同社が提供するWebサービスにユーザー登録し、マイページで自分のヘルスデータを管理・閲覧することができます。

そんな本郷ヘルスケア社で、ヘルスケアアプリ開発プロジェクトが持ち上がりました。Webサービスを管理・運用するエンジニアとデザイナーは社内にいますが、いずれもスマホアプリの開発経験はありません。

「せっかくスマホアプリにするならこんな機能もほしい」と要件はどんどん膨らみ、外部数社に見積りを依頼したところ、予算を大幅に超える金額を提示されました。

本郷ヘルスケア社の課題

・アプリ開発経験がないため、実現可能性やコストを踏まえて要件を整理したいが、検討のための知識が不足している
・見積りが適切か、どうしたらコストを抑えられるかが判断できない

本郷ヘルスケア社におけるアシアルとのアドバイザリー契約

なんとか予算内でアプリを開発する方法はないかと、アシアルに相談した本郷ヘルスケア社は、アドバイザリー契約の提案を受けます。その結果、以下の各フェーズで、アシアルのサポートを受けることになりました。

■新規企画フェーズ
- 各機能の実現可能性および必要な技術要素調査
アシアルのレポートを受けて、現実的な機能に絞り、社内スタッフで開発することを決断。

■初期開発フェーズ
- 社内エンジニアの技術サポート
Web技術を活用してスマホアプリを開発。Webサービスにはない、アプリ独特の開発手法や技術について助言を受けつつ、アプリをリリース。

■更新&バグ対応フェーズ
- 原因調査
- 解消のためのサポート
リリース後も、OSアップデートやアプリ更新のタイミングで不具合が発生。
本郷ヘルスケア社の担当者がアプリならではの勘所を掴むまで、アシアルが原因調査や解消方法のアドバイスを実施。

■追加開発フェーズ
- 新機能開発サポート
不具合発生が落ち着き、アプリ開発に慣れたタイミングで追加開発を実施。
社内では対応できないバグの修正や、実装方法がわからない箇所でアシアルのサポートを受けることで、開発の効率化とエンジニアのスキルアップを実現。

本郷ヘルスケア社では、アプリ開発の経験はなかったものの、社内エンジニアの士気は高く、プロジェクトを共に進めるうちにノウハウや技術を習得。社内エンジニアのスキルはみるみる上がり、完全内製も可能となりました。
アドバイザリー契約の活用により、本郷ヘルスケア社内に多くの知見が蓄積されたのです。

技術力アップにつながるよう

アシアルの技術と経験を伝えることが国内企業の技術力アップにつながれば、私たちにとっても大変うれしいことです。内製、外注で迷ったときには、アドバイザリー契約という選択肢も思い出してみてください。

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