プログラミングをもっと身近に! アシアルのプログラミング教育に対する取り組み
こんにちは。アシアル広報チームです。昨今、学校教育や企業研修でプログラミング教育が注目を集めていますが、今回はアシアルで行っているプログラミング教育事業について深堀りします。
まず前提として、今年度から小学校ではプログラミングが必修化。2021年度には中学校、2022年度には高校でもプログラミングが必修となり、情報の科学的な理解を学校で学ぶことが当たり前になりつつあります。
そのような中でアシアルがなぜプログラミング教育に力を入れ、どんな支援を行っているのか、アシアル情報教育研究所所長・岡本雄樹に話を聞きました。
エンジニア向けの製品がなぜか教育現場で大ヒット!
2010年から企業向けのプログラミング教育に携わり、Web技術やプログラミングに関する研修の企画と講師を担当してきた岡本が、教育機関向けのプログラミング事業に関わるようになったのは、2015年。Monacaが学校で使われているという話を社内で聞いたことがきっかけでした。
「実際にどのように使われているのか、学校の先生方に伺い、自分たちの身近な課題を解決するためのアプリ制作に使っているというお話を聞きました。最近の子どもたちは家庭にパソコンがあまりなくて、タブレットやスマートフォンが日常的に触れているコンピューターなのだそうです。
そのため、学校の備え付けのパソコンでしか動かないプログラムを作らせても活用イメージが湧きませんが、スマートフォンやタブレット上で動くアプリを作ると、子どもたちのプログラミングに対するやる気の向上に繋がる、と。
Monacaなら作った作品はアプリとして家庭にあるスマホやタブレットで動かせますし、パソコンがあればクラウド上で利用できるためとてもいいという話も。そんなにいいと言ってくださるのであれば、学校向けにMonacaを本格的に提供しようと、Monaca Education事業をスタートさせました」
岡本は、Monaca Education事業を立ち上げ、全国800以上の教育機関にMonacaを普及させました。当事業では、Monacaの提供のほか、研修やセミナーの開催、プログラミングの授業に適した教材の開発、アプリコンテストの運営などを行っています。
身近な問題を解決するアプリ制作がモチベーションに
では、これまでに行った支援と、Monacaが学校教育で使われた事例をご紹介します。
●きのくにICT教育 (和歌山県)
和歌山県では県独自の施策として「きのくにICT教育」を行っており、全国に先駆けて2019年度から小・中・高・特別支援学校すべてでプログラミング教育をスタートしています。アシアルは、2018年度からから和歌山県に対してMonaca Educationの提供をはじめ、教材提供(テキスト・サンプルアプリプログラミングシート)、学習指導案作成、教員向けプログラミング研修といったプログラミング教育実施に向けた支援を行っています。
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●日南振徳高等学校(宮崎県)
2018年に経済産業省が始めた『未来の教室』。その実証事業の一環として、ビニールハウスなどの温度・湿度をクラウドに記録し、モバイル端末でグラフとして情報を確認できるシステムを生徒たちと作りました。
「我々が先生向けに研修を行って、農業高校でIoT温度湿度計のシステムを作るという取り組みでした。日南振徳高校では、センサー側に小型コンピューターのRaspberry Piを使って、モバイルルーター経由でクラウドデータベースに記録を付けました。また、電源を屋外でも動かせるようにソーラー駆動にしたため、電子工作と電気工作の要素も入ってくる、かなり範囲の広い学習内容となりました。
生徒たちはそこから、その仕組みを活かすことをさらに考えます。装置にスマホから命令を出してビニールハウスの中の制御がしたいとか、カメラで監視したいという意見が上がりました。農場やビニールハウスは学校や家からちょっと離れたところにあることも多いため、リモートで制御できれば何かあったときに毎回足を運ばずに済み、効率化できるといった、切実な課題に発想が向きました」
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●同志社中学校・高等学校(京都府)
「Monaca Education事業を始めるきっかけになった学校の一つです。こちらの高校は高校3年生の学校設置科目に情報特論があり、そこでMonacaを使ってもらっています。いろいろなアプリを毎年作っています。
部活動のスコアを取るアプリだったり、読んだ本を記録するアプリだったり。ダイエットの記録をつけるアプリもありましたね。やはり高校生ぐらいになると健康など気になることも増えてくるみたいです」
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●島田商業高等学校(静岡県)
「40人くらいのクラスですが、1グループ1アプリで毎年10本程度のアプリをリリースしています。学校としてのアプリリリース数はダントツです。オープンデータを利用した地域貢献アプリの開発に積極的で、学校がある島田市だけでなく周辺の市との連携して活動しています。
沼津市の深海魚水族館と飲食店を紹介する『深海ぎょぎょぎょ』、平塚市の飲食店情報をリトアニア語で紹介する『Hiratsuka Maistas』などのアプリも」
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教育機関へのプログラミング教育事業で日本の未来を創る
「プログラミング技術を広く伝えていきたい」というアシアルの思いは、教え方だけでなく、事業設計にも表れています。
「アシアルは少数精鋭を前提とした技術会社ということもあり、校舎を構えて教師も揃え、プログラミングスクールを展開するというような方向には進みませんでした。現在のMonaca Education事業では、我々が生徒を直接教えるのではなく、教育機関や先生を支援する形で事業を設計しています。
この方式であれば、先生方を通じて我々のノウハウや技術を広く世の中に提供できますし、我々が先生に楽しく授業できれば、先生方も大勢の人に情報技術やプロラミングの楽しさを伝えられると考えたからです。
今年だけで延べ1000人以上の先生方にオンラインでプログラミングを教えることができました。今後もこのような形で先生方と日本の情報教育の未来を創っていけると確信しています」
超長期視点のプログラミング教育事業とは
岡本が所長を務めるアシアル情報教育研究所が考えるミッションは「プログラミングを身近にすること」。
「人類は道具を作れるようなって進化・発展を遂げましたが、コンピューターとプログラミングは火や電気と並ぶ、最強の道具の一つです。特に、入門や基礎の段階では挫折防止の観点からも母国語で利用できるツールや教材の充実が欠かせません。なので、我々のような自社で本格的なプログラミングツールを作れるような技術会社が国内でプログラミング教育に取り組むのは意義のあることだと考えています」
岡本は、「プログラミングという強力なツールを使いこなせれば、現実の世界を変えていける」と言います。アシアルは、コンピュータテクノロジーが持つ未来を創る力を信じ、技術の普及に努めてきました。その経験やノウハウをもとに、教育事業を通じて誰もが未来を創造できる社会を作りたいと考えています。
「アシアルの事業は、海外のプログラミング雑誌を翻訳し、日本語で最新の情報を伝えることから始まりました。プログラミング技術を人に教えるというのは、アシアルの使命みたいなものでもあるんです。創業時と違うのは、自分たちでプログラミング用のツールも作って提供できる点です。
現在Monacaは約27万人のユーザー規模があり、国産プログラミングツールの中では最大級。会社としてできることはいろいろと増えていますし、時流としてもプログラミング教育に国や大企業も動いています。
2015年という早い時期にMonaca Education事業の企画に社長がGOサインを出してくれたのは、そういう時流を感じていたからなのか……。いずれにしても、かなりの長期視点で取り組んでいます」
岡本雄樹(おかもと・ゆうき)
Monacaプログラミング教育アドバイザー
学生時代に通販ベンチャーでECサイトのウェブマスターを経験、アシアル入社後は、ECサイトの自社パッケージ開発等のEC案件に関わる。その後、Monacaが高校で採用されたことをキッカケに社内起業で「Monaca Education事業」を立ち上げ、全国800校以上に普及させた。実践的プログラミング教育を掲げ、実社会で活躍できる人材の育成につとめる。「専門学校 HTML5作品アワード」実行委員長。
最近、プログラミング教育のための教材サイト「あんこエデュケーション」のコンテンツ充実に力を注いでいる。