高校生の挑戦を支える、Monaca Education
こんにちは!アシアル広報チームです。
今回は、群馬県立高崎高校の物理部の4人の高校生たちが、「Monaca Education」を活用し挑戦した熱いプロジェクトをご紹介します。
「英語嫌いな子どもが増えている」というデータに着目し、「誰でも主体的に楽しく学べる世界を創造する」という想いから、英語学習アプリ「EnglishLens(イングリッシュレンズ)」を開発。このアプリは、超ハイレベルな「知の甲子園」と称される「Q-1 ~U-18が未来を変える★研究発表 SHOW~(以下、Q-1)」で「最優秀イノベータ」を受賞しました。さらに、群馬県主催のマッチングイベントでは地域企業の支援を獲得するなど、多方面で高い評価を受けています。
そんな高校生たちの挑戦を支えたのが、アシアルの「Monaca Education」。
どのようにして想いを形にしていったのか、高崎高校 物理部 3年生の黒澤駿さん、森田大智さん、そして顧問の岡田直之先生にお話をお聞きしました。
目の前にある知りたいことを無限に学べる「EnglishLens」
はじめに「EnglishLens」とは、どんなアプリか特長を教えてください。
森田さん スマホのカメラで身の回りのものを撮影すると、AI(人工知能)が解析し、英語と日本語訳が表示される小学生向けの英語学習アプリです。与えられる決まった問題ではなく、子どもたちが目の前にある知りたいことを能動的に調べて、無限の世界から学習できるのが特長です。近隣の学童や小学校で実施したユーザーテストでも、子どもたちは楽しみながらたくさんの英語に触れることができました。
黒澤さん 与えられたものでなく、知りたいことを学べるという、この特長は、自分自身の経験に関係しています。小学生の時に英会話を習っていて、「やらされている」感じが嫌で、中学生になっても英語があまり好きではないままになってしまったんです。それを課題に感じていて解決したくて、アプリ開発のきっかけにつながりました。
「Q-1」での受賞、審査員も絶賛でしたね。どう感じましたか?
森田さん まずは率直に嬉しかったです。それから本当に多くの方に支えてもらったと感じました。顧問の岡田先生はもちろん、黒澤君、今日はいないのですが細田君と常見君、あとは、「EnglishLens」を評価してくださった地元企業の OB の方からパソコンや、サーバーを寄贈してもらいました。試作したアプリのユーザーテストに協力してくださった学童の皆さんも、本当に多くの方に支援してもらえたなというのが感じていることです。
黒澤さん 群馬県副知事とお話する機会があったんですが、すぐに市内の小学校で「EnglishLens」を使った英語の授業ができるようにお話を進めてくださいました。本当に多くの方に助けていただきました。
コンテストを経て得た、かけがえのないコト
開発プロジェクトと受験勉強の両立、大変ではなかったですか?
森田さん 僕は、開発を始めたことでかえって生活のリズムが整って、成績が上がりました!
え!成績が上がったんですか?すごいですね!
黒澤さん これまでを振り返って小中学校で自分は何もやっていなかったな、と感じていたんです。高校では、忙しい中にずっと身を置いて、何かに取り組み続けたいと思っていました。だから物理部に入ってプログラミングをやって、ずっと忙しいのは本望で、それが大変ということはありません。夜遅くまで開発をしている期間もあって、僕はたぶんそんなに成績は上がってはいないかなとは思います(笑)。
開発プロジェクトでどのような点に苦労しましたか?
森田さん チーム作りで役割分担を決めるのが少し大変でした。黒澤君がリーダーで、データベース周りを担当し、僕はデザインを主に担当しました。でも「時間がある人、作っておいて」みたいな感じで割とみんなできたのかなと思います。
黒澤さん 技術の習得に最も苦労しました。僕は、高校生になり物理部に入って初めてプログラミングを始めたので、パソコンの使い方から自分で勉強しました。地元企業のエンジニアの方が時々来校し教えてくれて、段々と習得することができました。体系的に学んだのではないせいか、コードが洗練されていないのが悩みです。チームで開発するので他の人が見てわかりやすく、メンテナンスしやすいきれいなコードを書けるようになりたいです。
森田さん 僕は、UI(ユーザーインタフェース)担当だったので、みんなのコードを読んで整理してつなげるところでとても苦労しました。時間をかけて根気よく対応しました。
先生はどのような点を指導されたんですか?
岡田教諭 技術的にはほとんど指導はしていません。普段から物理部は自分が物理準備室に居る時はとなりの物理室でいつでも活動できるようにしています。時間はかかりますが見守っていました。
あとは「Q-1」などのプレゼンの練習時にはアドバイスを送りました。どうしても高校生というと、プレゼンの質疑応答を怖がり、理論武装して相手を論破するような答え方になりがちです。そこで、質疑応答は質問者と発表者が戦う場ではなく、探究をより良くするために質問者と発表者がテーマについて一緒に考える場としてとらえるように指導しました。
プレゼンと想定される質疑応答対策は壁打ちのように練習されたとお聞きしました。
岡田教諭 はい。かなりやりましたね。何回もやってダメ出ししたりして、黒澤さんと常見さんは熱くなって、まるでケンカのように激論をかわしていたくらいです。これも時間がかかることなのですが、とにかく体験が重要ですからね。
コンテストの経験を経て得た感想を教えてください。
黒澤さん 良かったことが2つあります。1つ目は、目に見えて技術力が向上したこと。それからこちらが大きいのですが2つ目は、人との関わりがこれまでと比較できないほど拡がったことです。入学前は、本当に中学校の中でしか関わりがありませんでした。しかし、挑戦の過程で、地元企業の社長さんや、学童の方、コンテスト関係者とどんどんと拡大していきました。自分からコンタクトするというのも初めての経験でした。
森田さん 僕は実際にプログラムができた時の感動が大きかったです。改善のサイクルを経てデザインがきれいに、使いやすくなる洗練の過程が喜びにつながりました。
「Monaca Education」との出会いがきっかけに!〜もっとはやくプログラミングと出会いたかった
プログラミングはいつからどのように始めたのですか。
森田さん 僕は中学2年生の時に、自治体主催のオンライン教室で偶然「Monaca Education」に出会ったのがきっかけなんです。そこから一気にのめり込みました。実際に動くものができて、人に見せた時にちゃんと動いて、少し褒められたりするととても嬉しいですし。
黒澤さん 先ほどお話しした通り、高校で初めてです。プログラミングという言葉すら知らなかった小学生の頃に、もっと早く出会えていたらなと思っています。
「Monaca Education」で開発してみて率直な感想を教えてください。
黒澤さん とにかく手軽で、発想したらプロトタイプをすぐに作れて自分のスマホで動かせるのが一番の魅力です。2年生の時に文化祭の模擬店担当になったんですが、売り上げを電卓で計算するのが不便だなと感じて集計アプリを文化祭前日に「Monaca Education」で作り、当日活用しました。
前日ですか?ものすごいスピード感ですね。反応はいかがでしたか?
黒澤さん はい。前日に思いついたことをすぐに実現できました。「すごい!」という意見と、「使いにくいところがあるな」という意見があって、今年はそれをブラッシュアップしました。React(リアクト:Web開発ツール)は、UIを作る上で効率がよいので使っているのですが、環境構築に時間がかかるため、1日でパッと作るというのには向きません。だからプロトタイプは「Monaca Education」で作ってみて、実際に使ってみてから、整えてリリースするものはReactでというように使い分けています。
プログラミングに挑戦したい学生へ何かメッセージをお願いします。
森田さん 今は、ChatGPT(チャットジーピーティ)など生成AIを使って調べることもできますし、インターネット上の情報も豊富なのでお金をかけなくてもプログラミングに挑戦できる環境が整ってきていると思います。まずはやってみて興味があればどんどん深めればよいし、面白くなければ止めてもいいですし、まずは挑戦してほしいなと思います。
黒澤さん 僕は興味のある人だけがやればいいのかなと考えています。ただ、僕のようにプログラミングという言葉すら知らない子どもたちがいるかもしれませんので、早くからその存在を伝えて、興味を見つけてほしいなと思います。
プログラミングや高校での経験をどう活かしていきますか?
森田さん 進学後も、プログラミングやハードウェア関連などさらに高度な技術に触れたいです。そして、将来的には日常に役立つものを生み出したいと考えています。例えば、テクノロジーで農業を支援することに興味があります。日本は食料自給率も低く、人手不足も大きな課題ですから、食料という不滅のテーマの効率化支援は重要だと感じているからです。
黒澤さん 僕はエンジニアになりたいです。特にAI分野に興味があって「ディープラーニング(深層学習:AIが大量のデータを分析・学習する方法の1つ)」の書籍も1冊読みました。「EnglishLens」でもAIの技術を使っているのですが、誤りもあるのでAI自体の精度をあげたいというのと、AIを活用する力をつけて商品化するなど両側面で取り組みたいです。
岡田先生、黒澤さん、森田さん、本日はありがとうございました。
みなさんの熱い挑戦が社会をさらにより良いものに変えていくことを心から期待しています。アシアルは、「Monaca Education」をはじめとするプログラミング教育環境を通じて、これからも皆さんの学びと未来の実現を全力で支援してゆきます。