Monacaがぷよぷよプログラミングに選ばれた理由~クラウド活用から始めるDX
こんにちは。アシアル広報チームです。みなさんは『ぷよぷよ』ってご存じですよね? あのアクションパズルゲームの『ぷよぷよ』です。
この『ぷよぷよ』が、なんとプログラミングの学習教材になりました。その名も『ぷよぷよプログラミング』。ゲーム『ぷよぷよ』を題材として、楽しみながらプログラミングが学べる教材です。この学習プラットフォームとしてアシアルのプロダクトであるMonaca Eduactionが採用されています。
今回は、この『ぷよぷよプログラミング』にMonacaが採用された背景から、教育のDXについて考えます。お話しするのは、アシアルの取締役でマーケティング・事業開発を担当する塚田亮一です。
『ぷよぷよプログラミング』が大きな話題に
今年6月に株式会社セガとアシアルの共同で提供開始された『ぷよぷよプログラミング』が話題になりましたね。
「『ぷよぷよプログラミング』発表当初からネット上で“ぷよぷよを動かせて楽しそう”とか“大人もやってみたい!”と話題になり、Twitterのトレンド入りもしました。『ぷよぷよ』というコンテンツ自体の強さがあったと思いますが、『ぷよぷよプログラミング』が、いつでも、どこでも、すぐにプログラミングを楽しめるコンテンツだったというのも大きかったと思います。
もともとセガさんは、『ぷよぷよ』をプレイするだけではなく、自分で『ぷよぷよ』を作る、プログラミングする、ということを通して、プログラミングの面白さを体験してもらいたいという構想があり、『ぷよぷよプログラミング』をeスポーツの競技会の会場や学校などで体験できるプログラミング学習教材として提供する計画をお持ちでした。
ただ、せっかくならその場限りではなく学習を続けてもらいたい。どんな場所でも教材を利用してもらえる方法を探しているときに、我々にご相談をいただきました。
我々が教育機関向けに展開しているプログラミング学習環境Monaca Educationでは、学習者はWebブラウザでアクセスするだけで、特別なソフトウエアのインストールなしにプログラミングを体験することができます。これならばプログラミングを初めて学ぶ人であっても、手軽に『ぷよぷよプログラミング』を始めることができます。
実際に、リリース当初から、 “子どもと一緒に作ってみた”といった体験記事やYouTubeなどへの体験動画の投稿が多かったです。また、それらを見た学校の先生方からも“授業で使いたい”などのお問い合わせを多数いただきました。 手軽にプログラミングを始められるからこその反応だったと思います」
作る楽しさを伝えていきたいというセガ様の思いと、Monaca Educationの特長がうまくかみ合ったことで、『ぷよぷよプログラミング』が大きな話題になったのですね。
すでに学校で活用されていたMonaca
『ぷよぷよプログラミング』を提供する前から、Monacaは学校で活用されていました。その経緯は前回の記事で岡本が熱く語っています。
学習する生徒・学生の立場からはスマートフォンアプリという身近な存在を通してプログラミングを学べるのがMonaca Educationの魅力のようです。一方、導入する学校側にも、Monacaに着目する事情があったといいます。
「クラウド上で特別なソフトウエアなしにプログラミングが学習できるというのは、学校にとって意義が大きいようです。今、政府の『GIGAスクール構想』のもと、生徒1人1台の学習端末の配布や教室ネットワークの整備が急速に進められています。ここで導入される端末はChromebookやiPadなどが多く、ローカルにプログラミング環境をセットアップすることに制限があります。
また、従来から学校のパソコン教室に設置されている端末も自由にソフトウエアをインストールできなかったり、スペックが低すぎてローカルで重い処理ができなかったりします。これらの端末の管理を先生方が兼任していることも多いのですが、その場合、業務負担的にも、スキル的にも、開発環境のメンテナンスは大変です。クラウドサービスであるMonaca Educationを使っていれば、このメンテナンス作業からも解放されます」
プログラミング教育を行う上で学校現場が抱える設備上の課題も、クラウド型学習環境であるMonaca Educationであれば解決できるんですね。
新型コロナ感染拡大状況下におけるクラウド活用
今回の新型コロナ禍による教育機関の一斉休校によって、教育現場でもクラウド活用が進んだように感じます。
「そうですね。新型コロナ禍の影響で学校はオンライン授業への対応を迫られています。Monaca Educationを活用いただいている先生からは、プログラミングをオンライン授業で教えたところ、教室での授業に比べて学生たちの学習効果が高かったというお話も聞いています。
我々が教員向けに実施しているMonaca Educationの研修も、この4月からオンライン形式に移行しました。すると、これまで時間や場所の都合で参加できなかった先生方も参加できるようになって、オフラインの研修よりも参加者が大幅に増え、参加者からは高い評価をいただいています。これまで時間や場所による学びの機会の制約が大きかったことを改めて気づかされました。
また、我々は研修会や打合せで先生方とコミュニケーションの機会が多いのですが、Monaca Education以外の点でも、教育機関でのクラウド活用が進んでいることを強く感じています。ある学校では、新型コロナの流行以前からオンラインの学習支援プラットフォームを使って、生徒の進度管理や課題提出をできるようにしていました。このため、一斉休校の要請があったときも、わりとスムーズにオンライン授業に移行できたようです。
Google Meetなども活用されていて、ホームルームなどもオンラインで行っていましたね。3月初旬に”こんなふうに生徒とつないでいるんですよ”ってデモを見せてもらったのですが、休校してすぐのタイミングでそれができたのは、平時からクラウドサービスをはじめとするデジタル技術を活用されていたのだと思います。
一方で、連絡手段は電話だ、という学校も多かったようです。1軒ずつ電話をかけて“元気?”とか“課題やってる?”と先生が聞くんです。休校が長期に渡っていたら、学習進度だけでもものすごい差になりますし、先生方の負荷が大きすぎますよね」
新型コロナ禍という大きな環境変化によって、場所や時間の制約を受けず、いつでもどこでも同じサービスにアクセスできるという、デジタル化・クラウド化の利点を強く実感する状況が全国の学校で発生していたんですね。
止まらない教育DXの流れ
デジタルトランスフォーメーション(DX)というと、新たにシステムを構築してまったく新しいビジネスモデルを実現することと考えがちですが、デジタル技術の力で既存のサービスやビジネスを進化させ、世の中の変化に対応していくこともDXだと言えます。
「教育現場を見ていても、それは強く感じます。学校という制度や予算の縛りが強く、かつデジタル活用の専門家が少ない組織であっても、既存のクラウドサービスなどを活用することで場所や時間の制約を超えて教育を提供するという、まさにDXを実現しているわけです。
文科省は『GIGAスクール構想』の実現の前倒しを発表し、今期中には全国の小中学校で1人1台の教育用端末の配布や校内ネットワークの整備が完了する見込みです。当初より『GIGAスクール構想』ではクラウドの活用が推進されていましたが、コロナにより加速されました。端末もインフラも整備され、今後は教育機関のDXも様々な形で実現されるのではないでしょうか。
また現在進められている指導要領改訂によって、児童・生徒たちは小学校から中学、高校を通じてプログラミングやデータサイエンスなど学ぶことになります。
数年後にはそのような環境で学んだ生徒・学生が、続々と社会に出ていきます。彼ら・彼女らの能力を活用しようとしたり、満足するような製品・サービスを提供しようと思えば、企業にも否応なしに変化が求められるのではないでしょうか」
PROFILE 塚田亮一(つかだ・りょういち)
取締役 マーケティング・事業開発
アシアル以前は、VCファンドでのベンチャー投資、国内ベンチャー企業でのマーケティング部門の立ち上げ、財閥系大手企業との合弁会社立ち上げ、米ベンチャー企業との事業提携などに従事。
アシアルではマーケティングおよび事業開発関連の業務を広く担当し、強力なエンジニア陣が生み出した事業の種を大きく育てて、花開かせている。
はまっているものは、1に餃子、2に餃子、3、4がなくて5に餃子。餃子ライフを発信する「東京餃子通信」を運営、時に餃子マニアとしてテレビにも出演したりもする餃界人。
▼DXの話題は過去2回に渡って津田が解説しています。